製造不正で何が起こっているか?

小林化工、日医工など製造不正のニュースが後を絶たないですね。製造不正が行われる背景には何があるのでしょうか?

製造不正と一言でまとめられてはいますが、製造と品質管理でそれぞれ問題があると考えられます。大きくは3つの要因があると思っています。

  1. 逼迫したスケジュール
  2. 生産数量・生産品目数が多い
  3. 分析法が不安定

逼迫したスケジュール

後発医薬品の場合は需要の大きさもあって逼迫したスケジュールが組まれていると思いますが、一般的には生産スケジュールは原価や人件費等考慮した時に利益の出る日数を元にしてスケジュールが作成されます。

薄利多売のビジネスでは生産ロット数を増やすことで利益を確保しようとするので、できるだけ短い期間で1ロットを製造することになります。利益が出るスケジュール=生産管理・品質保証を考慮したスケジュールとなれば問題ないのですが、生産計画を立てる人はコストだけをみて計画を立てるので、生産の作業時間や品質保証にかける時間を考慮していないのです。

身近なものに例えても同じことが言えると思いますが、余裕をもって取り組めれば難なくできることも、急がされればミスが多くなります。それと同じことが医薬品製造の現場でも起こっているのです。

無理なスケジュールが組まれているのでミスが起こる、ミスは起こるけど納期は守らなければならず、製造を追加している余裕はない⇒不合格だったロットを再加工して出荷しようということになってしまうんですね。

品質管理の方にも同様のことが言えます。分析を急がされる⇒試験のミスが起こり、異常値が出る⇒出荷が急がれているので再試験して良いデータを出す、もしくはデータを改ざんする。

製造や品質管理の現場で不正は起こっているのですが、根本原因としては逼迫した生産スケジュールが組まれることです。

生産数量・生産品目数が多い

これも逼迫したスケジュールと似たところがありますが、生産品目数が多い場合、それぞれに専用の製造ラインを持っているケースは少ないので、同じラインで製品を切り替えて製造することになります。さらに逼迫したスケジュールということは製造予定も頻繁に切り替わることになり、手順や原料も異なるため、急ぎの切り替えに対応しきれず製造ミスが起こります。

分析法が不安定

分析法の妥当性評価が不十分な状態で設定されていると、製品としては問題ないのに試験結果が異常値を示すことがあります。

分析法そのものが不安定という場合もありますし、試薬や標準液、サンプルの調製方法にコツがあって、それが手順化されておらず、習熟度の低いオペレーターがそれらを行うと異常値がでてしまいます。

この後は逼迫したスケジュールと同様になりますが、異常値の調査をしている時間がない、もしくは異常値を出したと報告するとロジスティクス部門や営業部門が早く調査を終わらせるようプレッシャーをかけてくるので、それを回避するために異常値がでても報告せず、再試験をして良い結果を出す、もしくはデータを改ざんしてしまいます。

オペレーターがプレッシャーを感じないように上長がコントロールしなければいけないのですが、マネジメントが機能していないとオペレーターに直接負荷がかかってしまい、分析値の不正につながります。

日記

Posted by ZEN


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